fly with the wind エッセイ


fly with the wind
osamu's RC flight
エッセイ
風を見ながら

3.リスクを恐れずに飛ばす

 飛行機嫌いの人は「飛んでいるものは必ず落ちる。だから飛行機には乗らない」という。確かにそうだ。飛行機は飛ばなければ落ちない。

 RCグライダーも飛ばさなければなくすことも壊すこともない。飛行には常にリスクが伴う。高く上がって見失ったり空中分解する危険については「優しくて怖い自然」に書いたが、他にも事故防止のために気を付けなければならないことがいろいろある。

 まず製作段階。製作といっても、以前はおおまかにカットされたバルサ材やヒノキ棒からなるキットを接着剤を使って組み立てたものだが、最近は機体そのものは完成しているものを購入することが多い。それでも飛行までにはいくつかの細かい作業が必要で、その中でも重要なのがリンケージとメカ積み。

 リンケージというのは操縦舵面やスポイラーなどを動かすために舵面にホーンとよばれる部品を付け、ロッドでサーボと連結すること。

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主翼下面のエルロンリンケージ

 サーボというのは受信機からの信号でサーボホーンが回転したり、ある位置で停止したりして舵面を制御するものだ。このリンケージが適切になされていないとグライダーはうまくコントロールできなくなる。

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サーボの例

 たとえば「ガタ」。これはサーボから舵面への連結部分に生じるあそびのことだが、このガタが大きすぎると飛行が不安定になることがある。特にエレベーターのガタは極力小さくすることがのぞましい。だからこの部分は慎重に組み立てなければならないが、不器用な筆者にはコツをつかむまでけっこう試行錯誤と経験が必要だった。

 メカ積みというのは前述のサーボと受信機、受信機用電池を機体に搭載すること。これも適切に固定しないと飛行中にトラブルを起こすことがある。特に発航直後には、機体に後ろ向きの力がかかるが、このとき受信機や電池がしっかり固定されていないと後ろにずれてしまい、機体の重心位置が変わってしまって不安定になる。

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受信機の例

 製作段階でリンケージとメカ積みをきちんと行い、初飛行が成功しても安心できない。RCグライダーは実物の飛行機に比べればはるかに荒い着陸をするので、着陸時に機体に損傷を与えやすい。大きく壊れればすぐわかるが、見落としがちなのがリンケージの損傷。荒い着陸をすると、その衝撃でホーンが外れたり、サーボが外れることがある。

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サーボ(青、左)と受信機(黒、中央)

 胴体内部の受信機やバッテリーが外れたり、場合によっては衝撃で電子部品(特に受信機のクリスタル)が壊れたり、接続コードが断線することさえある。なめらかに着陸したように見えても、草や木に舵面がひっかかってホーンが外れることもある。

 これらの小さなトラブルも致命的な事故を引き起こすので、飛ばす前の点検は不可欠。しかしホーンの接着がはがれていても、ホーンそのものが外れていないと地上では一応動作するので見落とすこともある。これは舵面を手で動かしてみないと発見できない。

 このようにRCグライダーでは飛行ごとの点検が不可欠だが、ついつい見落としてしまい、その結果、墜落や紛失につながる。特にスロープソアリングの場合は、どうしても着陸が荒くなるので機体のどこかを壊しがち。それに気が付かずに次のフライトをすればコントロールできずに墜落、紛失、ということになりかねない。

 タチが悪いのが受信機アンテナの断線。断線といっても、ビニール被覆の内部で銅線が切れている場合は外見上は正常なので、機体から離れて操縦テストしないと発見できないのだ。この状態で飛行させると、発航して数秒〜数十秒でコントロール不能に陥る。

 送受信機の電池の管理も大切。特に受信機用電池はいわばラジコンの生命線。この電池が機能しなくなればコントロール不能。受信機用電池にはニッカド電池やニッケル水素電池を使うが、これらの電池は適切に充放電の管理をしないと極端に容量が少なくなる。また荒い着陸の衝撃でリード線のハンダ付けが外れることもある。

 いずれにせよRCグライダーはコントロールできなくなればやがて墜落するか、そのまま飛んでいってしまう。近くに墜落してくれればまだいい。機体が回収できれば修理できるし、たとえ大破して修理不可能でも、受信機やサーボは他の機体に載せ替えることができる。最悪なのはコントロールがきかずにそのまま飛んでいって紛失してしまうケース。こうなると文字通りお手上げ。

 高い木に引っかかって回収できなかったり、川に落ちて回収できなくなることもある。機体はすぐ目の前にあるのに回収できない状況では、なんとも情けない気分になる。

 このようなトラブルで、いくつ機体を壊したり、紛失してきたことか。そしてこれらはすべて自分の責任。製作の不備、点検不良、操縦ミス、いずれも自分がやったことだ。それだけに精神的ダメージも大きい。「あのとき、こうしていれば・・・」とか、「あそこをこうしていたら…」と後悔先に立たず。紛失したときは原因不明のことが多く釈然としない。

 だから、せっかくRCグライダーを始めたのに機体を壊したり、なくしてしまって気落ちし、やめてしまう人もいるくらいだ。

 しかしRCグライダーは飛行して初めて意味がある。紛失や墜落はないにこしたことはないが、あまりに慎重になると「飛ばさない方がよい」ことになってしまう。これでは何のためのRCグライダーかわからない。

04.01.02
last modified: 08.02.06

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